植物プランクトン優占種が変化
 

  霞ヶ浦といえば、「アオコ」と連想されるほど、10数年前は、植物プランクトンの藍藻類の仲間である
 ミクロキステイスが、夏季に大発生していました。その後、アオコはほとんど見られなくなりましたが、
 数年前までは、オシラトリアやフォルミデイウムと呼ばれる糸状の藍藻類が、一年間を通して優占してい
 ました。しかし、この2−3年は、珪藻類であるシネドラ(ハリケイソウ類)やメロシラが多い状況が続
 いていました。
  ところが、9月中旬頃から珪藻類のスケレトネマが優占するようになり、湖水のプランクトンを観測・
 研究している研究者が注目しています。茨城県企業局霞ヶ浦水道事務所の水質管理センターでは、水道原
 水である湖水の観測を行っていますが、メロシラに似ているが、やや小ぶりで、葉緑体の形が異なる珪藻
 類が増えてきていることに気づき、国立科学博物館筑波実験植物園の辻彰洋博士に同定を依頼したところ、
 「スケレトネマ・ポタモス」であるという結果が出ました。 同属のスケレトネマ・コスタツムは、浅い
 海域に発生し、これまで有明海、瀬戸内海、東京湾などで赤潮を構成するプランクトンの一つとして知ら
 れていました。一方スケレトネマ・ポタモスは淡水に発生し、淡水赤潮の原因になります。これまで北米、
 南米、ヨーロッパなどで発生が知られていますが、魚類などへの被害は確認されていません。今回、霞ヶ
 浦で優占種になったことで、生態系や魚類にどのような影響があるのか、注視する必要があります。
 
 
霞ヶ浦水質調査研究会