2005年11月10日の湖水観測結果から
 

  10月から再び生じた白濁は、11月も収まっていないが、透明度は10月よりやや良いようだ。化学分析結
 果では、CODが低く、硝酸態窒素濃度が高かった。白濁現象の影響と考えられる。プランクトン分析では、
 高浜入り以外で植物プランクトンが少なかった。透明度が高い正常な湖水ならば、秋季のブルーム(増殖)
 が観察されるはずなのだが、植物プランクトンが少ないために、それを餌とする動物プランクトンも昨年
 同期に比べて少ない。
  昨年の11月、12月は、10月の台風で増水し、湖水の入れ替わりで透明度が回復し、植物プランクトン、
 動物プランクトンが増えたことと対照的である。白濁した湖水では、第一次生産(光合成)が表層の数十
 センチの幅のみで行われていることになる。濁った熱帯湖では太陽光が強く、水温が高いため、一年を通
 して辛うじて植物プランクトンによる生産活動が行われ、魚類も生息するが、霞ヶ浦のような温帯湖では、
 透明度低下が続けば、かなりの影響が出る恐れがある。透明度の回復が、霞ヶ浦の生態系の健全性にとっ
 て重要な、しかし困難な課題になりつつある。
 
  
 

 11月10日の麻生沖
 
霞ヶ浦水質調査研究会