2006年3月の湖水観測結果から
 

  この季節特有の、オホーツク海に抜ける低気圧(急激に発達し、爆弾低気圧とも呼ばれる)の通過で霞
 ヶ浦地方も強風が吹き荒れた。ようやく大波が収まった3月21日に出航したが、底泥の巻上げでひどい濁
 りだった。透明度は沖合いでも40cm程度。懸濁物が各定点で非常に多く、測定のための濾過作業ではガラ
 ス濾紙が目詰まりして困るほどだった。沖合いの濁っている湖水をペットボトルに汲んで、2週間静置す
 るとかなり懸濁物が沈殿し 透明度が上がる。猛暑の夏は強い風が吹かず、波が穏やかなので、透明度が
 一時的に上がることがあるのは、懸濁物が沈降することが一因だろう。しかし波浪は自然現象なので、人
 工的に止めると、溶存酸素低下や湖底の泥質化など、さまざまな支障も出る。
  西浦湖水の透明度低下が常態化していることが、今春の植物プランクトン相にも影響している可能性が
 ある。現在、北浦では春のブルームの主体はハリケイソウ類であるが、西浦ではヒメマルケイソウが優占
 している。白濁現象発生以前の2001年までは、西浦でもハリケイソウが多かった。この変化は、水界生態
 系の第一次生産性や動物プランクトンの捕食圧を通して、物質循環にも影響があると思われる。
 
 
 
 
左:土浦港を徐行で出航。比較的風は強め。右:麻生桟橋(旧水郷汽船麻生駅)で上陸。昼食休憩。
 
霞ヶ浦水質調査研究会