2011年6月16日湖水観測結果について
 
 
  東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所の事故から3ヶ月後の観測となった。梅雨真っ最中で、
 雨は降っていないが湿度が高く、湖上は薄く霞みがかった状況で、沖から岸辺が辛うじて見える程度の視
 界。風もほとんどない。観測船が走行中は涼しいが、停まると蒸し暑い。
  各定点の透明度は比較的良い。霞ヶ浦湖水のpHは、日中8〜9台のことが多いが、今回は珍し7台を示し
 植物プランクトンが少ないことを反映していた。CODもかなり低下していた。アンモニア態窒素は、沖宿沖
 牛渡沖、高浜入で高かった。今回、新たにポケット線量計による空間放射線量を測定したが、流域の地上
 での測定値と大差なかった。
  プランクトン相は、今回例年と大きく異なる状況だった。例年6月では、ゾウミジンコはほとんど見ら
 れないが、今年は驚くほど大量の発生があった。時期外れのゾウミジンコ大量発生は異常発生と呼びたい
 ほどで、放射性物質による刺激がゾウミジンコ休眠卵の賦活を促した可能性があるが、断定はできない。
 ゾウミジンコ大量発生に呼応するように、植物プランクトン数はごく少ない。珪藻類、緑藻類はほとんど
 見られず、糸状藍藻類がわずかに残っている。これは、ゾウミジンコを主とする動物プランクトンの捕食
 圧が非常に大きいことを窺わせる。COD値が低いことも、植物プランクトンがごく少ないことに呼応してい
 るようだ。今後の水質やプランクトン観測の結果が注目される。

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  この湖水観測活動は、市民が作る「霞ヶ浦水質調査研究会」による自主的な調査ですが、公益的な意義
 が大きいものです。しかし財源不足の中で、個人の負担が大きくなっています。応援してくださる方を募
 っています。

  連絡先TEL:029-835-2252 メール:pcom @ sea.plala.or.jp
  また(株)ラクスマリーナ様では『調査船はいあU世』で水質調査と霞ヶ浦1周クルーズに参加を呼びか
 けるページを作ってくださいいました。コチラからご覧いただけます。
 

 
 

あやめ園は観覧橋と一部の地割れを除いてほぼ健全。
 
震災後の加藤洲十二橋:左。大増殖したゾウミジンコ:右。
 
霞ヶ浦水質調査研究会