早朝の時点では風が心配されたが、9時過ぎの出航時にはベタ凪となった。調査船のスピードが上がると体感温度が低下し、スタッフは寒くてデッキには居られないが、キャビン内は風が当たらず波浪による揺れもなく快適だ。帰路はやや風があった。
各定点の水温は7度台で真冬の到来を実感させる。透明度は1.3m程度でこの時期としては例年なみ。電気伝導度や塩化物イオン濃度も、西浦では特に異常はない。各無機態窒素やリン酸態リン濃度も、この時期の例年通りだった。
CODは3〜4mg/l程度で、底泥の巻き上げがなく、冬至前後の最小日長時間、陽光の斜め入射、水温低下で植物プランクトンの光合成が抑制され湖水の生産活動が一年のうちで最低になる12月の湖水の水質を反映していた。水温低下で動物プランクトンが少なく捕食圧が低いにもかかわらず、植物プランクトンが増殖できないのである。年が明けて、日長時間が長くなり始めると、水温がまだ低いにもかかわらず例年どおり、まず珪藻類が増殖し始めることが予想される。温帯に位置する湖で動物プランクトン、植物プランクトンの典型的な季節変化が観測されることは、湖水の健全性の指標となる。
動物プランクトンではミジンコ類がごく少ないが、ワムシ類のうち、ハネウデワムシがやや多かった。これから早春にかけて、ワカサギやシラウオの産卵、孵化、そして稚魚の成長時にワムシ類が好餌になるので、来年のワカサギ漁を予測する上で、ワムシ類の状況把握は重要といわれている。
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