2013年8月8日〜9日湖水観測結果について(長軸方向を含む)
 
 
今夏は懸念されたアオコの発生が少なく、土浦港ではスジ状のアオコがうっすら観察される程度だった。アオコが少ない理由は、春にミジンコ類の発生が少なく、餌としての植物プランクトンが残り、透明度の上昇が見られず、アオコ(ミクロキスティス)の初期増殖に必要な光強度が得られなかった可能性が高い。それでも北浦や高浜入りではアオコ発生があり、我々の今回の観測でも北浦湖心(北浦大橋下流)と高浜入でミクロキスティスやアナベナが少ないが観察された。今回の観測はかつてないほどの猛暑の中だったが、観測船で移動中は風がある上、湖上はやや霞みがかかり、それほど暑く感じない。歩崎、田伏沖の浅瀬ではボラの群れがジャンプする光景が例年どおり見られた。逆水門直下流では、ハクレンの死体が100 匹ほど浮いていた。
透明度は各地点で差があるが、西浦・北浦ではおおむね 90〜110cm前後だった。塩化物イオン濃度と電気伝導度は、昨年同様息栖真崎地点から高く、逆水門上流で500mg/Lを超えていた。今回の観測の逆水門通過時点(午後2時頃)で逆水門は八基全門が開放されており、さらに隣接する利根河口堰(9基)の両端の2基が開放され、強い流れが生じ、閘門を通過する小型観測船は複雑な流れに翻弄され、かなり危険であった。逆水門の開放は引潮時に合わせているが、現状では霞ヶ浦側の水位が高くなくとも、塩分濃度が高い直上水を排水するために実施されているようだ。逆水門上流で塩分濃度が高くなっている理由は昨年のこのコメントで指摘済みである。
COD 値は西浦・北浦の各地点で 8〜10mg/L程度で、やや高かった。その原因は、糸状藍藻類(フォルミディウム、アファニゾメノンをふくむ)がやや多くなっていることにある。これが透明度の上昇を抑制しているようだ。またハリケイソウ類も出始めていた。逆水門の上流及び下流で COD値がさらに高いのは、逆水門開放で強い流れが生じ、底泥の巻上げが起こり、懸濁物が COD値を押し上げたためである。それによって水色が黒っぽい状態であった。逆水門は、国土交通省のデータ(ネットで公開されている)では、年間のうち3分に1程度の日数で、限界近くまで開放されており、「ほとんど閉鎖状態」ではないことを、夏と冬に逆水門の閘門を観測船で通過する我々は実感している。
 
 
 この湖水観測活動は、市民が作る「霞ヶ浦水質調査研究会」による自主的な調査ですが、公益的な意義が大きいものです。しかし財源不足の中で、個人の負担が大きくなっています。応援してくださる方を募っています。
 メール:pcom @ sea.plala.or.jp
 また(株)ラクスマリーナ様では『調査船がいあU世』で水質調査と霞ヶ浦1周クルーズに参加を呼びかけるページを作ってくださいいました。コチラからご覧いただけます。
 
 
  

鹿島神宮一之鳥居。2013.8.8撮影。

左:調査中へ。2013.8.8 沼澤会長撮影。右逆水門上側閘室 2013.8.9 沼澤会長撮影。

左:死んだハクレン群。右:河口堰下 2013..8.9 沼澤会長撮影。

常陸川大閘門閘室内 2013.8.9 沼澤会長撮影。
 
霞ヶ浦水質調査研究会