10月に予定していた湖水観測は台風26号の来襲に重なり、11月上旬に延期したところ、今度は急速に発達した低気圧による波浪が懸念され、結局秋期の観測は中止せざるを得なかった。
8月以来の観測となったが、12月5日に冬期観測を実施した。湖面は凪ぎの状況でスムーズに観測できた。透明度は沖宿沖で70センチと、やや低かったが、他地点では1メートルを超え、12月としては例年なみだった。これは、12月は日長時間が最も短く、水温が低いために、植物プランクトンの増殖が抑制され、透明度が比較的良くなっていることを示している。動物プランクトンのミジンコ類は水温低下と餌(植物プランクトン)不足で、この時期はごく少なくなるのも例年どおり。しかし、今回はどの地点でも、ワムシ類(9割ウはツボワムシ、その他はフクロワムシ、テマリワムシ、ハネウデワムシ、カメノコウワムシなど)が多かった。ワムシ類の発生が早春まで続けば、孵化間もないワカサギ仔魚の良い餌になり、来年もワカサギの好漁が期待できる。植物プランクトンのうち、藍藻類と緑藻類はごく少ないが、珪藻類は発生しており、早春の増殖につながると思われる。
電気伝導度と塩化物イオン濃度は、霞ヶ浦(西浦)湖水としては低く、台風26号前後の相当の降水量によって、霞ヶ浦が増水し(ピーク時は、Y.P.+2メートル前後)、湖水が入れ替わったことを反映している。それによって、各無機態窒素やリン酸態リン濃度も低かった。
霞ヶ浦河川事務所のサイトでは、今秋の増水によって、逆水門の開放が頻回となり、漏水による直上の塩水が淡水によって押し出され、塩化物イオン濃度上昇が解消されたことが報じられていた。
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