2014年 2月19〜20日 湖水観測結果について
今回は逆水門(長軸)方向の冬期観測を兼ねて、14地点で調査を行った。直前の2月中旬に2回まとまった降雪があった。特に2回目は関東西部で記録的な大雪になったが、茨城県南部は雪から雨となり、雪解け水が河川を通じて霞ヶ浦に流入したため、平水位より約50cmの増水となり、濁水によって透明度も低下した。今回の観測結果は、それぞれの気象現象を反映していた。観測日はようやく穏やかな天候となり、2日間ともに大きな支障なく観測を実施できた。しかし、年度末のためか、横利根閘門、荻原閘門、利根河口堰閘門の工事に遭遇し、通過できず、現場でルート変更せざるを得なかったのは予想外だった。
沖宿沖では透明度が約30cmと低く、桜川をはじめとする流入河川の泥水の影響と思われる。小野川が流入する江戸崎入りでも透明度はやや低かった。今回の大量の河川水の流入により、各地点で電気伝導度、塩化物イオン濃度は、やや低下していた。逆水門上流、逆水門下流でも塩化物イオン濃度は低く、観測船通過時は、逆水門及び利根河口堰が両方とも開門中で相当の流れが生じていた。特に利根川の淡水の影響が逆水門下にまで達し、銚子近くでも塩化物イオン濃度は相当低かった。このように常陸川や利根最下流は、降雨の影響を強く受けることが改めて裏付けられた。北浦湖心(北浦大橋下流)では透明度が 150cmと良かった。これは北浦上流の巴川や鉾田川の濁水の影響がまだ及んでいなかったためと思われる。
流入河川からの新たな補給により、湖水の無機態窒素やリンの各濃度はやや高かった。例年2月は珪藻類の増殖が開始される(春のブルームと呼ばれる現象)のだが、今回は濁水の影響か、珪藻類は少なかった。今後、懸濁物の沈降、透明度の回復、水温や日照時間の上昇とともに、硝化細菌や珪藻類の活動により無機態栄養塩類はプランクトンへと同化されるプロセスをたどり、3〜4月には、珪藻類やワムシ類の増殖、さらには5〜6月のミジンコ類の増殖に結びつくことが予想される。2月の時点で、今年のワカサギ・シラウオ漁やアオコ発生の予測をすることは困難であるが、雪解けの濁水がどのように影響するのか、気になるところである。
いばらきコープ環境基金様からの助成金により逆水門方向の長軸調査を実施致
しております。いばらきコープ環境基金様に感謝致します。
co-op
いばらきコープ様
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 この湖水観測活動は、市民が作る「霞ヶ浦水質調査研究会」による自主的な調査ですが、公益的な意義が大きいものです。しかし財源不足の中で、個人の負担が大きくなっています。応援してくださる方を募っています。
 メール:pcom @ sea.plala.or.jp
 また(株)ラクスマリーナ様では『調査船がいあU世』で水質調査と霞ヶ浦1周クルーズに参加を呼びかけるページを作ってくださいいました。コチラからご覧いただけます。
  

     水質調査中。                行方市(玉造)手賀沖の養殖網生簀。

霞ヶ浦大橋南側                小見川閘門常陸川口

常陸川逆水門通航後、銚子に向けて航行。

  常陸川大閘門を遡上               宝山の風景。以前はホテルがあった。

鹿嶋市の旧神宮橋                新しい牛堀桟橋に着船
霞ヶ浦水質調査研究会