今年の4月、桜の開花時期は平年並だったが、天候不順で菜種梅雨の状況が続いた。気温が低く、桜の花は長持ちした。満開を少し過ぎた4月9日に調査船を出し、6名の参加で定期観測を実施した。
今年冬期の観測時に比較して、やや透明度が低下していたが、それでも各定点で1メートル前後を記録した。水温は11℃前後で、天候を反映して4月上旬としては低かった。水質に関する現場データや化学分析結果では特に異常はないが、植物プランクトンの春のブルーム(増殖)を反映して、COD 値が少し上昇していた。またゾウミジンコがやや多いためか、アンモニア態窒素濃度がやや高い地点があった。
顕微鏡によるプランクトン分析結果では、珪藻類のシネドラ(ハリケイソウ類)、メロシラ(タルケイソウ類)が優占していたものの、例年の4月よりは少なめだった。これは天候不順で、日照が少なく水温が低いため植物プランクトン増殖が抑制されたか、あるいは、動物プランクトンのワムシ類とゾウミジンコ類(今年4月はやや多い)による捕食圧がかかっているためかもしれない。こうした変化を丁寧に追うには、毎月観測が望ましいが、現在定期観測は費用や人員確保の制約から、偶数月の隔月に実施している。 |