2016年 2月28日〜29日 湖水観測結果について
当初の実施予定日に悪天候が予想されたため一週間延期し、この日の観測になったが、昨年12月14日以来2ヶ月半ぶりだった。観測間隔が空いてしまうと、その間の連続的変化を把握できないため、結果の解釈が難しくなる。
今回の観測結果では、まずケンミジンコの発生数が例年になく多く、12月に優占していたワムシ類がほとんど姿を消していたことが特筆される。抱卵しているケンミジンコ、そしてその幼生であるノープリウスも多く、今後しばらくケンミジンコの優占が続きそうだ。ケンミジンコは肉食性で他の小型動物プランクトン、特にワムシなどを餌にしている可能性が高いことが、今回ワムシが少ない要因かもしれない。ワムシ類はワカサギやシラウオ稚魚の餌になるので、この季節に、ワムシが少ないことがどのように影響するのか気になる。ノープリウス幼生は比較的多かったが、ワカサギ稚魚の餌になるのだろうか。植物プランクトンでは、珪藻類のブルームの季節なのだが、例年より少ない印象である。1月〜2月の観測が出来ていれば、その間の変化が分かるので、珪藻類、ワムシ類、ケンミジンコの相互関係が類推できたと思われるが、現在の当会の財政状況やスタッフ体制では、毎月観測は当面できない。
植物プランクトンの数は水域によって異なるが、全体に少ない傾向なので、COD 値も低めである。その中で沖宿沖では、植物プランクトンが皆無に近い状態で、COD 値が低く、透明度が高かったが、これは植物プランクトンを食べる大型のカブトミジンコが優占していたことと関係があるだろう。カブトミジンコは抱卵している個体が多く、今後増加する可能性がある。
各無機態窒素やリン酸態リン濃度は低い傾向にあり、水質は良好だったが、植物プランクトンによる吸収が活発に行なわれているならば、物質循環が回転していることになり、良い兆候である。しかし、これまでの観測経験では、大型ミジンコなどの動物プランクトンが多い場合は、アンモニア態窒素濃度が高いことがあったが、今回は低いので不思議である。
今回は冬季の逆水門方向の観測を兼ねて実施した。ところが、逆水門の閘門は工事中で調査船が通過できず、銚子河口での観測は欠測となった。それでも船長の判断で調査船を逆水門上流で接岸させ、徒歩で下流側に移動し、辛うじて岸辺から観測と採水を行なうことができた。逆水門下流では電気伝導度、塩化物イオン濃度が高く、塩水が逆水門直下まで迫っていることを確認した。横利根閘門を通過して実施した佐原沖の利根川の水は、窒素、リンとも霞ヶ浦や北浦の湖水より濃度が高かったが、例年どおりであった。
 この湖水観測活動は、市民が作る「霞ヶ浦水質調査研究会」による自主的な調査ですが、公益的な意義が大きいものです。しかし財源不足の中で、個人の負担が大きくなっています。応援してくださる方を募っています。
 メール:pcom @ sea.plala.or.jp
 また(株)ラクスマリーナ様では『調査船がいあU世』で水質調査と霞ヶ浦1周クルーズに参加を呼びかけるページを作ってくださいいました。コチラからご覧いただけます。
三又心調査風景。プランクトン採取。 巨大なカブトミジンコとケンミジンコ。
新横利根閘門 横利根運河を徐行で佐原方面へ。
横利根運河西岸のショッピングセンター街 横利根閘門
常陸川大閘門が通行止めだった。水域が狭いため機材を運び橋・陸から調査。
逆水門上左に接岸し水門下調査を行った。 旧水郷汽船やよい丸が陸上施設。釜谷。
霞ヶ浦水質調査研究会