2016年12月 5日 湖水観測結果について
 一日中凪ぎ状態で、鏡のような湖面を調査船は進行した。透明度がやや高い冬期特有のカスミアン・ペール・ブルーの湖面にゴマ粒を撒いたように、カモ類が翼を休めていた。一群で数百羽にもなり、調査船が近づくと一斉に飛び立つが、やり過ごすとまた湖面に降りた。真っ白なユリカモメも多数見られた。薄もやの向こうに筑波山が藤の花のような色をして浮かび、名匠溝口健二監督の雨月物語のような幻想的な風景だった。霞ヶ浦上空では真綿を薄く伸ばしたような絹雲がかかり、風がないのでほとんど動かない。夕刻、日没後の土浦港に入ったが、静かな湖面に街の灯が映え、安堵する光景だった。
透明度は全6地点で1〜1.3mほどだった。例年12月は水温が低く、日長時間が一年で最短で、植物プランクトンが少ない時期であることから、この良好な透明度の理由が説明されるが、さらに全地点でワムシ類が多く、植物プランクトンを捕食していることが考えられる。ワムシはワカサギ、シラウオの餌として重要なので、北浦でシラウオが好漁という報道と符号する。このままワムシの優先が春まで続けば、ワカサギ、シラウオ仔魚の初期餌料になり、来年も好漁が期待される。今回、良い透明度を反映して、COD値、各無機態窒素、リン酸態リンも低めだった。
 この湖水観測活動は、市民が作る「霞ヶ浦水質調査研究会」による自主的な調査ですが、公益的な意義が大きいものです。しかし財源不足の中で、個人の負担が大きくなっています。応援してくださる方を募っています。
 メール:pcom @ sea.plala.or.jp
 また(株)ラクスマリーナ様では『調査船がいあU世』で水質調査と霞ヶ浦1周クルーズに参加を呼びかけるページを作ってくださいいました。コチラからご覧いただけます。
掛馬沖水位水位観測所 沖宿の高台に移転した土浦協同病院
三又沖を航行中
水墨画の様に山裾が霞む筑波山
霞ヶ浦水質調査研究会