2017年 2月 6日〜 8日 湖水観測結果について
昨年12月5日以来の観測となった。例年2月の観測は逆水門方向の8地点を追加して14地点で、1泊2日で実施してきたが、今回は冬型の気圧配置の影響で波浪が強く、2日目の帰港を回避し、3日間を費やす観測となった。本州東方沖を通過した低気圧が北海道沖で爆弾低気圧並みに発達し、シベリア寒気団が吹きこみ、遮るものがない霞ヶ浦湖上では毎秒20mを超える風が吹き、波浪の高さが1.5mほどになると、調査船が翻弄され、観測、採水、プランクトン採集に支障があるだけでなく、遭難の危険がある。このような天候では船長判断で無理をせず、潮来に連泊して天候の回復を待つことになる。昔の高瀬船の船頭や蒸気船通運丸の船長も同じ判断をしたであろう。当時の牛堀河岸、木原河岸、柏崎河岸、有河河岸などは風待ち港であった。霞ヶ浦でのシッピング(水上航行)の感覚は、普段陸上で暮らす現代の一般人には理解しにくいが、今回の参加者5人は全員、霞ヶ浦の船上での活動に馴れた方々であったことが幸いだった。
波浪が強いために底泥の巻上げの影響で地点によっては透明度がやや低下するなどの影響が出たが、全体としては概ね良好な水質だった。COD 値は4〜5台のところが多かった。植物プランクトンは、ハリケイソウ、メロシラ(タルケイソウ類)が少し増えてきたが、まだ春のブルームというほどではなかった。
動物プランクトンでは、各地点でワムシ類が大発生しており、植物プランクトンに捕食圧をかけている状況だった。これは2015年の2月の状況に似ている。この年は夏のワカサギが好漁だった。しかし2016年の2月はケンミジンコ類が優占し、ワムシ類が少なかった。これがワカサギの初期餌料に影響したらしく、夏のワカサギ漁は前年よりも苦戦したようだ。近年のワカサギ漁は2月頃のワムシ類の現存量で、ある程度予測できるかもしれない。
なお、逆水門下流水域で、多毛類(ゴカイやイソメなど)のネクトケータ幼生がプランクトンネットで多数採集された。
逆水門を境に明瞭に電気伝導度、塩化物イオン濃度に大きな差があり、冬期は関東平野が少雨期であるため、常陸川、利根川ともに水門上流側の水位が低く、塩水の遡上を常陸川水門(逆水門)、利根河口堰が防いでいる状況が観測から見てとれた。今後、日長時間が延び、水温が上がる春4月には、植物プランクトンが増殖し、動物プランクトン相がワムシ類からミジンコ類にシフトし、ワカサギ稚魚の成長に合わせて、好餌になっていくと予想される。
 この湖水観測活動は、市民が作る「霞ヶ浦水質調査研究会」による自主的な調査ですが、公益的な意義が大きいものです。しかし財源不足の中で、個人の負担が大きくなっています。応援してくださる方を募っています。
 メール:pcom @ sea.plala.or.jp
 また(株)ラクスマリーナ様では『調査船がいあU世』で水質調査と霞ヶ浦1周クルーズに参加を呼びかけるページを作ってくださいいました。コチラからご覧いただけます。
浮島沖航行中。 常陸川水門上の風景。
常陸川大閘門通航中。。
波崎、銚子河口の波
敷けた北浦。抹茶の様な波に翻弄されながらの調査。
やっと上陸した潮来港は時折桟橋が波にもぐる 7日朝の横利根閘門
横利根を往復し佐原港沖を調査して潮来泊 8日、嵐は収束に向かい、残りのST調査後土浦へ
霞ヶ浦水質調査研究会