梅雨入り直前の晴れ間の観測と潮来あやめ祭り鑑賞をかねて、この日の出航となった。常連スタッフをふくめて会員10人の参加だった。沿岸の緑がさらに鮮やかになっているのを眺めながらの順調な観測だったが、帰りに実施予定だった江戸崎入りのポイントは波浪が強まり欠測となった。潮来あやめ園のあやめは満開直前の風情で、月曜日にもかかわらず観光客でにぎわっていた。例年どおり佐原・加藤洲十二橋めぐりのさっぱ舟、名刹長勝寺散策も体験し、水郷情緒を楽しんだ。
湖水の透明度は各定点で1m前後だったが、高浜入りでは80cmだった。COD値は高浜入で7.2mg/Lだったが、他地点は5台だった。無機態各窒素、リン酸態リン濃度は特に高くなかった。動物プランクトン相は、5月に多かったケンミジンコがほぼ姿を消したが、ゾウミジンコやカブトミジンコは出現していなかった。高浜入ではオナガミジンコが出現していた。ワムシ類は皆無だった。イサザアミが出現しかけていた。これらのことから、イサザアミとワカサギまたはシラウオの稚魚が動物プランクトンを捕食していることが推測された。今年の冬、春、初夏にかけての動物プランクトンの消長は、一昨年の状況に似ており、ワカサギの好漁が期待される。植物プランクトン相は、5月同様、ハリケイソウ類、タルケイソウ類がやや多かった。これまでのところ、今年も全体的には食物連鎖を通して、物質循環が順調に行なわれている印象を受ける。
今夏、藍藻類のアオコ(ミクロキスティス)が発生するかどうかの予測は6月上旬の時点では難しい。梅雨が長引くか、日照時間や水温はどうか、濁った河川水の流入による透明度の低下があるか、窒素やリンの濃度は、植食動物プランクトンは発生するか等の要因がアオコ発生に関係してくるので、かなり複雑系の現象である。 |