二度の南岸低気圧通過に挟まれた、束の間の穏やかな天候を選んでの1泊2日の観測となった。例年、この時期の観測は逆水門を通過する長軸方向の観測であり、貴重なデータが得られている。2日間を通じて、風は無風か弱風だった。潮来や佐原では、日陰に数日前に降った雪が残っていた。水温は各地点で5度を下回り、牛堀の北利根橋付近では、薄く結氷していた。今回は数年ぶりの寒波の中での観測となった。透明度はほとんどの地点で1m程度だった。横利根川では、寒鮒釣りの太公望が岸辺やボートから釣り糸を垂れていた。
今回の観測では、レンタルしていた機材を返却したため、溶存酸素と電気伝導度は欠測となった。塩化物イオン濃度では、逆水門上と逆水門下では、例年のこの時期同様、大きな差があった。COD値は5台がほとんどで良好だった。植物プランクトン相は、珪藻類のハリケイソウ類、タルケイソウ類が優占し、早春のブルームが始まっていた。動物プランクトン相では、例年どおりワムシが優占していた。この時期から3月上旬ごろにかけては、ワカサギ卵、シラウオ卵の孵化と仔魚の成長期のため、ワムシは初期餌料として重要である。しかし、北浦湖心(北浦大橋南)では、カブトミジンコとケンミジンコが多く、ワムシは少なかった。カブトミジンコが優占すると、植物プランクトンが食べつくされ、透明度が上がるが、2月から3月にかけてどうなるか注目したい。またケンミジンコが多いとワムシの捕食者となり、ワムシが激減するので、ワカサギの漁獲量(特に解禁日)に影響しがちであり、今後の推移を見守りたい。 |