2018年 4月 2日の観測結果について
 前回以来、2ケ月ぶりの観測となった。2月は近年にない寒さが続いたが、3月は記録的な暖かさとなり、関東地方の桜の開花が約1週間早まった。2月には降雪があったが降水量は少なかった。筑波山方向からの筑波おろしが弱く、爆弾低気圧の通過もなかった。その結果、波浪による底泥の巻き上げがほとんどなく、透明度が良好に推移したようだ。この気象状況が湖水の水質やプランクトン相にどのように影響したのか気になる。
透明度は今回の観測では各定点で1メートルを超えていた。春季に透明度が良好で、日照時間が長くなり、水温(今回は16℃台)が上昇すれば、珪藻類が優占するブルーム(増殖)が起こりやすくなる。しかし、今回の分析結果では、ブルームの規模は小さかった。ハリケイソウ類は大型のものが少数で、メロシラ(アウラコセイラ)類も少なかった。藍藻類では、フォルミディウム(プランクトンスリックス)が発生していたが多くはない。植物プランクトン類は成長途中の小さいうちにワムシ類に捕食されていることが考えられる。ワムシ類(ツボワムシ類、フクロワムシが優占)は非常に多く発生していた。しかも顕微鏡で観察すると、緑色の植物プランクトンが大量に消化管につまっていた。植物プランクトンが吸収した窒素とリン、光合成で生産した有機物が、ワムシの体(小さいが数が多い)に移行したことになる。その結果、透明度、COD などの水質が良好となっているようだ。ワムシは繊毛を動かして移動するだけなので、孵化直後のワカサギ、シラウオ稚魚の良い餌になる。ワカサギ、シラウオは初期餌料が豊富であれば、よく成長する。次のフェーズで、ミジンコ類に餌が転換していけば、今年はワカサギ豊漁が期待できる。今回の観測では、ミジンコ類、ケンミジンコ類ともにほまだ発生しておらず、今後5月以後の推移が注目される。とくにワムシの捕食者であるケンミジンコの今後の発生状況が最も気になるところである。
 この湖水観測活動は、市民が作る「霞ヶ浦水質調査研究会」による自主的な調査ですが、公益的な意義が大きいものです。しかし財源不足の中で、個人の負担が大きくなっています。応援してくださる方を募っています。
 メール:pcom @ sea.plala.or.jp
 また(株)ラクスマリーナ様では『調査船がいあU世』で水質調査と霞ヶ浦1周クルーズに参加を呼びかけるページを作ってくださいいました。コチラからご覧いただけます。
桜が異常に早く満開を迎えた。すでに桜吹雪状態。桜川河口沖から望遠
掛馬沖水質水位観測所 調査風景
山の桜 強風の中、波のない北岸に沿って帰港途中
霞ヶ浦水質調査研究会