2018年 7月 8日の観測結果について
 6月29日、気象庁が「関東地方が梅雨明けしたと見られる」と発表後、数日間猛暑が続いた。しかし私達が観測を予定していた7月4日に、台風が沖縄を経て日本海側を通過し、青森沖で温帯低気圧に変化した直後、水温が高い太平洋上の暖かく湿った大気が西日本に呼び込まれ、梅雨前線南側に居座った線状降水帯が中国山地にかかり、長時間にわたり記録的な豪雨をもたらし、愛媛、広島、岡山などで甚大な洪水、土砂崩れの被害が発生した。霞ヶ浦流域では強い風が吹いたが、雨は少なかった。7月4日は波浪が強かったため、8日に延期して観測を実施した。
 土浦入、高浜入では透明度が約50pと低かった。浅い両水域における、観測日直前の波浪による底泥巻き上げの影響か、降雨により濁った河川水の流入の影響と考えられる。湖心や天王崎沖では約1mを記録した。定点の西浦6地点では、アオコの発生はなく、COD 値は低めだった。水温は25度付近だった。無機態各窒素、リン酸態リンは、先月に比べて高めだった。なお、同日頃、霞ケ浦環境科学センターのホームページでは、北浦北部でアオコ発生(アオコ度2)が報じられた。
 動物プランクトンでは、土浦入りと高浜入りでイサザアミがプランクトンネットに入った。イサザアミの発生は、5月、6月、7月と3ヶ月連続したが、塩化物イオン濃度は特に高くない。ケンミジンコ類(ノープリウス幼生を含む)とオナガミジンコが優占していたが、ワムシ類は皆無だった。ゾウミジンコ類、カブトミジンコ類も発生していなかった。植物プランクトンは、珪藻類(ハリケイソウ、タルケイソウ、ヒメマルケイソウなど)、藍藻類(メリスモペディアなど)、緑藻類(イカダモなど)が発生していたが、数は多くない。藍藻類のミクロキスティス類や糸状のプランクトスリックス類はほとんど発生していなかった。
 このように西浦の水質やプランクトン発生状況は、本年7月上旬時点で、北浦に比べると良好に見えるが、ワカサギやシラウオなど、キュウリウオ科の年魚(一年で寿命を終える魚類)の漁獲量への影響が気になる。
 この湖水観測活動は、市民が作る「霞ヶ浦水質調査研究会」による自主的な調査ですが、公益的な意義が大きいものです。しかし財源不足の中で、個人の負担が大きくなっています。応援してくださる方を募っています。
 メール:pcom @ sea.plala.or.jp
 また(株)ラクスマリーナ様では『調査船がいあU世』で水質調査と霞ヶ浦1周クルーズに参加を呼びかけるページを作ってくださいいました。コチラからご覧いただけます。
ラクスマリーナ着船前 崎浜沖
採取したプランクトン。イサザアミが見られる。
調査風景
富士見塚古墳沖 プランクトンネット
透明度測定 夏の雲
霞ヶ浦水質調査研究会