日本近海で発生した小型台風6号が夜半通過直後に梅雨明けとなり、次第に浅葱色の空が広がる中で出航した。透明度は各定点で70cm〜 100cm程度で、前回の7月上旬観測時より上昇していた。これは、台風の風が弱かったことで波浪による底泥再懸濁(泥の巻き上げ)がなかったこと、梅雨の期間中、当地方は大雨にならず、濁水の流入が少なかったことに加えて、日照不足で植物プランクトンの増殖が抑えられた一方、植物プランクトン食のオナガミジンコが優占してきたためと考えられる。つまり濁りと植物プランクトンの現存量が比較的少ないために、透明度がやや良くなったのかもしれない。
ただし北浦湖心では水色が緑色で、顕微鏡では糸状藍藻類とミクロキスティスが多く観察され、pHが高かった。この地点のCOD値は10.0mg/Lであった。他地点のCOD値は特に高くなかった。各無機態窒素、リン酸態リンは、どの地点でも平年並みだった。
今回の逆水門方向の観測時は引き潮で、ちょうど逆水門と利根川河口堰の開門時間帯に当たり、利根川および霞ヶ浦の淡水が銚子河口まで達していたことが、電気伝導度や塩化物イオン濃度で裏付けられた。銚子港近くの河口水域では、浚渫船が作業しており、その影響で水色は黄土色を呈し、透明度が低かった。
横利根川では、釣り人が多かった。昨年は緑の水色だったが、今回は透明度がやや高かった。岸辺にはミズヒマワリが大量に繁茂していた。各地点では、梅雨明けを喜ぶようにボラやハクレンのジャンプが観察された。
7月21日は恒例のワカサギ・トロール漁の解禁日で、新聞報道によれば、西浦では最近5年間で最も初日の漁獲が多かった。これは、ワカサギ卵が孵化し仔魚が泳ぎだす早春に、餌となるワムシ類が多く、続いて晩春から夏にかけては、ケンミジンコとその幼生であるノープリウスがよく発生し、成長期のワカサギの好餌になったためではないかと考えられる。しかし、北浦ではワカサギが不漁気味だったことが懸念される。替わってシラウオが好漁であればよいのだが。今年は、真夏から秋にかけて好天が続き、適度の植物プランクトン、それを餌とするオナガミジンコ、ゾウミジンコが順調に発生すれば、ワカサギ、シラウオの成長にとって好条件となるので、期待したい。
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