10月上旬に予定していた観測を、台風や豪雨の影響で水位(最大Y.P.+2.0m)が上昇したため、数回の延期を経て、この日に実施した。秋晴れの好天だが、湖水は、全6定点で白濁が観察され、透明度は50cm程度(近年のこの季節の透明度は約1m)だった。その直接的な原因は、河川から濁水が流入したためだが、塩化物イオン濃度の低下(河川水による希釈)によって、ごく比重が軽い微小な懸濁物の沈殿が抑制されていることも考えられる。また、河川から微小な有機物や栄養塩類の流入によって、バクテリア類(菌類)が増殖している可能性もある。
今回の観測では、植物プランクトン、動物プランクトンが極端に少なかった。例年では、ワムシ類が増殖し始める時期だが、高浜入以外では少なかった。一方、各無機態窒素、リン酸態リン濃度は、例年より2〜3倍高かった。COD 値は、植物プランクトンが少ないことを反映し、各定点で3〜4mg/Lと低かった。
2003年頃をピークに霞ヶ浦で白濁が発生し、数年続いたことがあった。この時は、植物プランクトン、動物プランクトンが激減し、ワカサギなどの水産物の漁獲が最低レベルまで低迷した。透明度低下によって、太陽光による植物プランクトンの光合成が阻害され、湖水の生産性が極端に低下した時期だった。当時、網生簀で養殖されていたコイは、コイヘルペスウイルスに感染して大量斃死し、持続的養殖生産確保法が適用され、全量処分された。
今回の白濁が今後継続するのか、我々の観測でも推移を注視したい。 |