今回は観測に馴れた常連スタッフのみで実施した。5月の湖上の風は爽やかながら、やや強く、白波が立つほどだったが、順調に6定点を廻った。土浦入の沖宿沖、牛渡沖、高浜入りでは、湖水の緑色がやや強く、透明度は70〜80cm程度で植物プランクトンが増殖していた。三又湖心、天王崎沖では、透明度がやや高く、 100cm程度だった。プランクトンネットには多数の動物プランクトンが入った。これらの動物プランクトンが植物プランクトンを捕食するため、透明度がやや高いと思われる。動物プランクトンはワカサギの餌になり、水産と物質循環の観点からは良い兆候である。
昼近くは太陽光が強く、湖水表層のPHが10に達した地点があった。これは植物プランクトンによる光合成が盛んに行われ、水中の炭酸イオンが減少し、相対的にPHが高くなるためである。水温は19℃台で、例年5月の16℃台よりかなり高い。電気伝導度、塩化物イオン濃度は異常なかった。
無機態の窒素、リン濃度は特に高くない。COD値は、植物プランクトン増殖を反映し、高浜入で9mg/L台、他地点は6mg/L台だった。植物プランクトンは、ハリケイソウ類、タルケイソウ類が優占し、春のブルーム(植物プランクトンの増殖)状態だった。高浜入では糸状藍藻類が増えていた。
動物プランクトンは、高浜入以外では、4月に優占していたワムシ類がほぼ皆無で、ノープリウス幼生を含むケンミジンコ類優占の水中世界に劇的に変化していた。高浜入ではフクロワムシが大量発生し、植物プランクトンを飽食していた。
春期の霞ヶ浦の水質やプランクトン相は総じて、近年では比較的健全に推移し、ワカサギやシラウオの餌が、成長(仔魚→稚魚→若魚)に合わせて適時的に供給されている。 |