1月は厳しい寒波の日が続いたが、例年2月の湖水では、珪藻類のスプリング・ブルーム(増殖)が始まる。2月9日は波浪が強く、調査船は波に翻弄され、調査員は足を踏ん張りながら、採水、プランクトン採取を行った。今回は経験を積んだ常連スタッフによる作業だった。湖水の色は淡緑茶濁のところが多く、透明度は1m前後だった。植物プランクトンの増殖と、強い波浪による底泥の巻き上げが影響していた。
西浦のCOD値は、波浪で欠測となった高浜入を除き、6mg/L前後で、昨年12月より高くなった。これは、波浪による底泥巻き上げと植物プランクトンが増えてきたことを反映している。無機態窒素、リン酸態リンは特に高くなかった。逆水門方向観測では、北浦、外浪逆浦、息栖真崎で、植物プランクトン増殖の影響でCOD値が8mg/L台でやや高かった。しかし、逆水門の直上、直下では、電気伝導度、塩化物イオン濃度が高く、COD値が低下した。塩分によって植物プランクトンが枯死し、凝集沈殿が起きている可能性がある。今回は、外浪逆浦、息栖真崎でも、塩化物イオン濃度が例年より高く、塩水が逆水門を越えて遡上したと考えられる。
動物プランクトンではワムシ類が期待したほど多くなかった。1月の寒波で水温が低い日が続いたため、ワムシ類の発生が遅れているようだ。逆水門直上、直下、銚子(波崎)港沖では、プランクトンネットにゴカイ類幼生が入った。昼食のために上陸した麻生港では、ワカサギの人工孵化の棕櫚枠が多数吊り下げられ、曝気されていた。今後、3月に孵化した仔魚が、初期餌料としてワムシ類を十分に捕食することができれば、夏以後の豊漁が期待できるが、今年はどうだろうか。 |