12月に入り、北海道沖での低気圧発達が続き、霞ヶ浦でも波浪が強かった。この日、ようやく天候が安定し、ほぼ無風で鏡のような湖面に出航した。カモ類はじめ越冬中の水鳥が多かった。水温は7〜8℃台だが、透明度はこの時期としては低く、白濁が全地点で顕著だった。透明度は沖宿沖で35cm、湖心で55cmだった。例年この時期は、湖心で約1mの透明度が観測されている。この低い透明度は、KHV(コイヘルペスウイルス)感染で養殖鯉が全量処分された2003年秋以来である。この年はワカサギ漁獲量も史上最低の年間50トンを記録した。
低い透明度に、最も日照時間が短く水温が低い時期が重なり、植物プランクトンは少なかった。動物プランクトンは、沖宿沖、牛渡沖でケンミジンコ類がやや多かったほかは、どの地点でも少なかった。COD値は、4〜5mg/Lで低く、白濁の原因は有機物由来ではなさそうだ。2003年頃の白濁の原因の一つは、炭酸カルシウムの微結晶(方解石)が湖水中に生成したことと、国立環境研究所の研究者が論文化したことがあった。今回の原因は何だろうか。無機態窒素やリン酸態リン濃度は特に高値ではなかった。
もし、今後白濁が長期化すると、植物プランクトンの光合成を阻害し、それを餌とするワムシ類、ミジンコ類、さらにワカサギ、シラウオへの影響が大きくなることが懸念される。 |