2022年 3月 8〜 9日の調査結果について
逆水門方向の水質調査は、例年2月に実施していたが、今年の2月は西高東低の冬型の気圧配置が次々に出現し、実施日の予定を立てることが難しかった。安全な船上観測を優先し、観測は3月にようやく実施できた。2月は寒波が来襲したが、関東地方は晴れの日が多く、日照時間は例年並みだった。3月には、水温がまだ低い(7〜8℃)にもかかわらず、春のブルーム(植物プランクトンの大増殖)が起きているかが注目された。なお、江戸崎入は波浪が強く、欠測となった。
湖水の色は淡緑茶濁のところが多く、透明度は西浦で60cm前後だった。北浦と逆水門方向の各地点では、1m前後のところもあった。植物プランクトンの増殖と昨年来の濁りが影響していた。
動物プランクトンではワムシ類が期待したほど多くなかった。1月〜2月の寒波で水温が低い日が続いたため、各地点でワムシ類の発生が遅れているようだ。しかし、北浦、常陸利根川では、すでにケンミジンコがやや多くなっていた。
西浦のCOD値は、波浪で欠測となった江戸崎入を除き、5mg/L前後だった。これは濁りと植物プランクトン増殖を反映していた。濁りにもかかわらず、珪藻類を主とするブルームが起き、CODをやや押し上げているようだ。
 北浦心と外浪逆浦のCODは8〜9mg/L前後だった。これは、珪藻類を主体とする植物プランクトンの春季ブルームを反映していた。無機態各窒素とリン酸態リンは例年並みで、特に高くはなかった。なお、北浦心では大型のカブトミジンコ(ダフニア)が出現していた。
逆水門方向観測では、逆水門の直下、銚子河口では、電気伝導度、塩化物イオン濃度が高かった。逆水門直上では、水位を約20cm上げているにもかかわらず、塩化物イオン濃度はやや高く、塩水が逆水門のわずかな間隙から上流に漏れているようだ。
これらの結果は、ワカサギ、シラウオの仔魚の成長に影響し、本年の漁獲高を予測する材料になる。3月時点で珪藻類はよく増殖しているものの、初期餌料であるワムシが少ないので、4月以降の観測結果が待たれる。

水質調査研究会20年間のまとめ論文ができました。他関連論文も以下です。

20年間の霞ヶ浦の水質とプランクトン相の変遷          沼澤 篤  大久保 裕司

米の研ぎ汁をコーヒーフィルターで濾過することによる負荷削減効果        沼澤 篤

 この湖水観測活動は、市民が作る「霞ヶ浦水質調査研究会」による自主的な調査ですが、公益的な意義が大きいものです。しかし財源不足の中で、個人の負担が大きくなっています。応援してくださる方を募っています。
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 また(株)ラクスマリーナ様では『調査船がいあU世』で水質調査と霞ヶ浦1周クルーズに参加を呼びかけるページを作ってくださいいました。コチラからご覧いただけます。
調査風景 土浦入
横利根閘門通船中 香取神宮一之鳥居
利根川閘門逆側が開いており時間短縮のため水深1mで泥を巻上げな柄珍しく萩原閘門通船。本川側
逆水門下航行中
潮来ホテルそよかぜ桟橋に停泊中のがいあU
銚子電鉄応援乗車。犬吠駅では物産大量買い込み
銚子電鉄の派手なピンク飾り 銚子電鉄観音駅下車、飯沼観音五重塔
霞ヶ浦水質調査研究会