台風2号が6月上旬に日本列島に接近し、太平洋へ抜けた。その影響で、霞ヶ浦地方は前線が停滞して大雨となり、湖水の水位は約0.8m上昇した。その後、霞ヶ浦河川事務所が逆水門を連続開放し、1週間後には平水位に戻った。それらの事象が水質に与えた影響を調べることが、今回の調査の主目的になった。
調査当日は北東風(丑寅の風、ヤマセ)がやや強く吹き、白波が立つ天候の中で出航した。沖宿沖、牛渡沖、三又湖心、高浜入りは観測したが、波浪が高くなり、天王崎沖、江戸崎入は欠測となった。
透明度は60〜80cm、水温は24〜25℃、水色は薄茶緑。電気伝導度は約250μS/cm、塩化物イオン濃度は25〜30mg/Lと測定され、4月の観測値よりかなり低下していた。各無機態窒素濃度、リン酸態リン濃度、COD値も比較的低値だったが、沖宿沖、高浜入ではやや高かった。今回の観測値は、大量の降雨により、湖水がかなり入れ替わったことを示していた。
動物プランクトンは、沖宿沖、牛渡沖で少なく、三又湖心、高浜入りではケンミジンコ、ノープリウスがやや多く、特に高浜入では、オナガミジンコ、フクロワムシが多く発生していた。イサザアミはネットに入らなかった。植物プランクトンでは、高浜入で珪藻類が多かった。
それらを総合すると、湖水の交換が促進されたことで、7月、8月に向けて、水質や酸欠がやや改善され、動物プランクトンや魚類によい影響が出ることが期待される。しかし、今年の春期も、初期餌料であるワムシ類が少なかったため、ワカサギの現存量に影響する可能性がある。なお、逆水門の順流放流時間が長かったことで、利根川下流からスズキが遡上し、釣り人情報では、土浦港や桜川でよく釣れているという。
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