5月の予定観測日はあいにくの雨天で中止となり、2か月ぶりの調査となった。今回は透明度が三又湖心で160cm、天王崎沖で95cm、牛渡沖で110cmであった。この高い透明度は、近年では東日本大震災の2011年夏以来である。2011年夏は初夏からゾウミジンコ(ボスミナ)が大発生し、植物プランクトンを食べつくしたために、透明度が上がった。今回は、カブトミジンコ(ダフニア)が大発生し、オナガミジンコも多かったため、植物プランクトンがほぼ食べつくされたことで、透明度が上昇したようだ。また、土浦入では特に大型ミジンコであるノロが発生していた。
我々の観測では、表層水を採取し、水質分析に供するほか、光学顕微鏡で植物プランクトンを計数しているが、今回の表層水では、植物プランクトンが皆無に近かった。植物プランクトンが少ないため、透明度が上がった。しかし、鉛直5m引きのプランクトンネットには、動物プランクトンの他に、ミクロキスティス類が多く入った。ミクロキスティス類は、やや深い中層に分布し、透過光を受けて増殖しつつあるようだ。今後、真夏に向けて、ミクロキスティス類が増殖し、気泡を含んだ群体を作るようになると、水面近くに浮上し、南東風の風下にあたる土浦入奥、高浜入奥に吹き寄せられる可能性がある。
こうした例年にない透明度上昇、動物プランクトンと植物プランクトンの発生状況が、ワカサギをはじめとする魚類、水質、そしてアオコ発生にどのように影響するのか、注視していく必要がある。
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