台風7号通過後の調査となり、一日中曇天で猛暑は一時和らいだ。表層水温は29℃台だった。例年、当会による8月の調査は、逆水門方向調査を兼ねて、合計14地点で一泊二日で実施してきたが、前船長のご逝去にともない、昨年からお願いしている現船長は本来の業務優先なので、二日間にわたる調査は不可であり、一日で直線的コースで逆水門方向の往復調査を行っている。また当日は大気不安定で雷雨が予報され、乗船者の協力・分担で、各地点で急いで観測作業を行った。従って、高浜入、江戸崎入、北浦心、銚子港、佐原沖の利根川などは欠測となった。さらに今回は、逆水門が開門する順流放流時に当たり、閘門通過は危険であるため、船長判断で逆水門直下地点は欠測、直上地点での観測のみとなったが、順流放流のため、直下地点の水質は直上地点と同様と考えられる。
往路の沖宿沖、牛渡沖では、動物プランクトン採集用ネットにアオコ粒(藍藻類ミクロキスティス)が大量に入った。透明度も低かった。そのわりに、表層水のCODは6程度だった。出発時の土浦港や新川(土浦税務署前)では、水が緑色から青白色で、アオコが集積し、悪臭を放っていた。沖合では波浪でアオコ粒が拡散するため、表層水のアオコは少ない。潮来、外浪逆浦、逆水門直上地点の表層水CODは、5mg/L台で特に高くはないが、別機会に陸上から北浦奥の武田川河口ウエットランド等でアオコ発生が観察されており、今後の降雨があれば下流に流される可能性がある。なお、逆水門直上地点で、珪藻のメロシラ類(アウラコセイラ)類が多く発生していた。
動物プランクトンでは、6月に確認されたダフニア(カブトミジンコ)は今回、皆無。替わって各地点で夏の常連であるオナガミジンコ、ゾウミジンコが多かった。霞ヶ浦では、例年ダフニアの発生は稀であるが、今年初夏にダフニアが発生したことは、捕食者であるワカサギが極端に少ないことが影響している可能性がある。
今夏のアオコ大発生は2011年夏以来で、6月のダフニアの発生、一時的透明度上昇、高水温などが重なった結果と考えられる。秋以降の推移や生態系への影響に注目していきたい。
(ネット検索:「霞ヶ浦水質調査研究会」体験乗船歓迎、会員募集中、問い合わせ:090-6154-0137)
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