『 がいあ 』 ニュースと航海日誌  『 2006年10月 』
2006年10月27日(木) 船の墓場はお祭り騒ぎ  −鹿嶋港−
2006年秋、温暖化の影響だろうか、非常に強い台風に加え、異常に発達した低気圧が数
多く銚子沖を通過し、茨城、千葉の太平洋側では約1ヶ月半に亘る大時化状態が続いて
いた。この間例年の1/3程度しか小型漁船は出漁出来ず、損害は甚大であった(神栖市)
同時に船舶事故も発生し強風に煽られ風流された巨大船、7〜10万トンクラスの鉱石、
石炭運搬船が座礁し、鹿島港付近には3隻が無残な姿をさらしている。この頃全国的に
も海難事故が発生している。漁船(鰹船、一般漁船)、遊漁船(釣り船)の転覆、霞ヶ
浦でもプレジャーボートが2m近い風浪を受け転覆したほか、東日本フェリーの定期便
へすていあが大波による座礁を回避するため大洗沖で30時間程度立ち往生し、けが人と
積荷のトラックを含む車輌を転倒させる事故も発生した。以下の写真は、鹿島港付近で
座礁した3隻。北防波堤北側の1隻、南防波堤南側に2隻。事故現場付近は多くの見物
人が訪れ、大型観光バスが立ち寄り露店も出店する始末。この付近は、ゴールンウイー
クの潮干狩りと夏の海水浴シーズンを除くと殆ど人が来ないひっそりした地域。現在は
まるでお祭り騒ぎ。10月27日木曜日、平日にもかかわらず多くの見物人で賑わっていた
日川浜(にっかわはま)海水浴場付近には3等分に折れた巨大船のバウ部分が打ち上が
り、砂浜には重油の黒い帯ができ、油臭がたち込めていた。海水浴場の駐車場からビー
チに降りる砂の小道では消防署職員が侵入する四駆車を制していた。


鹿島港北堤付近の沈船(鉱石運搬船)

北堤付近の沈潜(ズーム)

 南堤付近の座礁船(石炭運搬船)右舷側。喫水線下中央部の凹みは南堤激突の痕跡。

同上おもて側。OCEAN VICTORYの文字。(汀−バウ間は50m程度)中下に激突の痕跡。

3つに折れた船のバウ(オモテ)側。海水浴場方向に流されている。

3つに折れたされた船のアフト(トモ)側。ミドルは写真左側に沈み目印のブイが浮いている。

半海里程度離れたバウとアフト。船央部は沖アフトの左に没している。

日川(にっかわ)浜海水浴場に打ち上げられた巨大なバウ。重油の臭いが酷い。
2006年10月14〜19日 中海・宍道湖探訪調査
日付 発時色 地点名 天候:おおむね晴。18日九州高温。19日太平洋上時化。
着時色
 
14 日 10:40 土浦市内 宍道湖・中海探訪調査のため出発。
11:23 土浦駅 特急フレッシュひたち24号
12:04 上野駅 数分で山手線乗換。
13:33 東京駅 700系のぞみ89号
17:02 岡山駅・市内 関係者事務所:PC2台OS導入。友人宅泊。
15 日 11:20 岡山市内 関係者事務所。1台HDD交換。ネットワーク構築。
12:00 山陽IC 山陽道、岡山道、中国道、米子道経由。
15:00 米子IC 途中蒜山高原SAで休憩。
15:30 米子港 撮影、透明度、水の味見、生物観察。
15:50 江島大橋 旧中浦水門跡地脇。撮影。
16:20 大根島波入港 撮影、透明度、水の味見、生物観察。
16:45 松江宍道湖温泉 干拓海中道路経由。市内で食事。ホテル泊。
16 日 09:50 松江宍道湖温泉 宍道湖・中海探訪調査のため出発。
10:10 佐陀川 撮影、透明度、水の味見、生物観察。
10:30 秋鹿浜 撮影、透明度、水の味見、生物観察。
10:45 斐伊川 展望。
11:00 宍道駅 撮影、休憩。
11:20 鳥ヶ崎 撮影、風景展望。
11:40 嫁島前袖師ヶ浦 松江湖畔公園。撮影、透明度、水の味見、生物観察。
12:00 松江港 撮影、透明度、水の味見、生物観察。
12:15 中海長海沿岸 干拓堤内水面。撮影、透明度、水の味見、生物観察。
12:30 境港 昼食。港の海鮮丼激しく美味かったです。
13:45 三保湾弓ヶ浜 自衛隊米子基地近く。撮影。
14:00 米子IC 高速上の工程の逆。途中蒜山で休憩。
16:50 岡山IC PCショップ、関係者事務所でPC設定。友人宅泊。
17 日 11:22 岡山駅 特急しおかぜ9号、瀬戸大橋、松山経由。15:06着
17:25 八幡浜駅(港) 宇和島運輸フェリー『あかつき2』。
20:05 別府国際観光港 別府大学駅−大分駅(市内見物)−坂ノ市駅−タクシー。
23:45 大分大在港 シャトルハイウエイライン『しゃとるよこすか』船中泊。
18 日 21:25 横須賀久里浜港 遅れ。車で佐原IC横横−湾岸−江戸川線経由−小菅IC。
22:54 青戸駅 京成青戸−京成高砂−京成金町
23:24 金町駅 千代田線直通各駅停車で隣の松戸乗換。
19 日 00:19 土浦駅 経由常磐線快速松戸発23:32発
00:25 土浦市内 帰宅。全移動距離1529.31浬(2832.29km)
関係者貿易会社のPC設定の仕事と中海、宍道湖の調査、及びシャトルハイウエイライン
取材のため出発した。新幹線のぞみでは、あっという間に岡山へ。岡山からは知人の自
家用車での移動となり、協力に感謝している。非常に多額の税金を注ぎ込んで進められ
ていた中海、宍道湖の淡水化及び中海北部の干拓事業は米が余る現在、その必要性が疑
われ、また湖沼の汚濁にもつながることから住民からの猛烈な抵抗があり完全に中止さ
れた。中浦水門は既に半分が完全撤去され、残り半分も閘門部の導流堤と橋桁を残すの
みになっていた。そのかいあってか、中海の透明度は著しく上昇しているようである。
大根島の波入港付近では、3mの海底がはっきりと見え、透明度はおそらく5mを超え
ようとも思われる。中浦水門脇には新たに大型船を通すための非常に高い江島大橋が完
成しており、その下を数万トンクラスの大型貨物船が堂々と通っていく姿は霞ヶ浦では
まず見られない光景である。中海の南東部、米子の奥まった部分には大型船が接岸でき
る港(米子港)が整備されており、西の外れにも大きなバースを持つ松江港が再開発さ
れていた。まさに中海は海であった。宍道湖は、佐陀川を経て日本海へ、また大橋川を
経て中海へ繋がる汽水湖で、ヤマトシジミの生産量は他を圧倒し日本一で、日本で流通
する市場の実に40%にも及ぶ漁獲量である。透明度はやはり霞ヶ浦とは比較にならず、

2m程度の固定の砂がよく見える。透明度は3〜4mあるように思われた。水を舐めて
みたところ中海は海水で非常に塩辛く、宍道湖は海水の数分の一程度と感じられた。中
海の生物は岸壁にカキやフジツボ、キサゴ等の海産性の貝類が着いており、ボラやメジ
ナ様の海魚が泳いでいた。宍道湖では秋鹿浜の公園に寄り、砂浜を手で一掻きしてみた
ところ、大小のヤマトシジミが5個も出てきて驚いた。物凄い生息密度だ。車で湖岸を
走ると宍道湖各地で人工浜造成工事が行われていた。これらの砂は山砂なのかと思いき
や、しばらく車で走ると莫大な天然砂場が見えてきた。斐伊川である。下流域の水面幅
に比べ、幅1kmくらいあろうかと思われる広大な砂地が広がっていた。これなら砂の心
配はいらなそうである。流入河川の天然川砂が使えるとはなんとも贅沢な資源である。
その後南岸で各地に寄りながら松江へ向かった。この日出雲空港から玉造温泉に至るま
で宍道湖南岸沖合2〜300m沖合いにベルト上の薄緑の帯が続いていた。赤潮だろうか?
結局は謎のままであるが、鳥ヶ崎の絶壁上から撮った写真にも写っている。緑帯の正体
をもし知っている方が居られましたら是非ご連絡下さい。
とにかく、宍道湖、中海とも綺麗で豊かな水域であった。松江は町並みが非常に美しい
ウォーターフロントだった。いずれにせよ湖と漁業資源を守るため、また交通路確保の
ため中浦水門を破壊させた鳥取、島根両県民の意識の高さと行動力に敬意を表したい。
 
 
左:700系のぞみ89号鼻。右700系のぞみ車内。
 
右:富士市付近の富士山。左:新幹線で浜名湖の橋を通過中。

湖の港!?中海の米子港。
 
左:米子港奥の方 右:中浦水門撤去のためできた江島大橋、物凄い高さでした。
 
左:中海の海水と海草。右:大橋川河口付近。整備されている松江港バース。

破壊途中の中浦水門。
 
左:松江城。右:袖師ヶ浦から見た松江市街。

ホテルから見た嫁島の夕映え
 
左:朝の宍道湖。多くのシジミ漁船が浮かぶ。右:帰港したシジミ漁船(佐陀川)
 
左:秋鹿浜の砂浜。右:シジミの貝殻浜。
 
右:水は非常に澄んでいる。左:砂を掘ってらシジミがいっぱい。

鳥ヶ崎から島根半島展望。奥部の出雲空港から300m程度沖に緑の帯が伸びる。何だろう?
 
左:がいあ船長。鳥ヶ崎で。左:境港フェリーターミナル。フェリーは鬼太郎柄、街灯は目玉オヤジ。

三保湾の弓ヶ浜(夜見ヶ浜)米子基地近く。非常に透明度が高く綺麗な浜である。
 
左:大仙(だいせん)。右:瀬戸大橋を特急しおかぜ9号で通過中。
 
左:八幡浜駅。"ガラガラガラガラガラガラガラガラ"ディーゼル。右:フェリーあかつきから錆色の宇和海。
 
左:JR九州の綺麗なワンマン電車。右:大分駅。
 
左:大分駅前。右:『しゃとるよこすか』内のレストラン。

『しゃとるよこすか』の甲板
 
左:時化てきた紺碧の熊野灘。右:『しゃとるよこすか』の海軍カツカレー。激しく美味かった。
2006年10月13日(金) 『 がいあU世 』   燃料300g給油
本日、調査船『がいあU世』に軽油300リットル(県税事務所許可油)を給油した。
2006年10月12日(木) 船長・船員2名、調査員2名、ゲスト1名
地点名 天候曇。   風向風速:北東2〜7m。    気温19〜26℃
 
09:00 09:25 土浦港京成マリーナ 定期水質調査のため出航。
09:35 09:55 沖宿−防衛技研 採水、pH、EC、透明度、プランクトン採取。
10:00 10:10 牛渡−大須賀 採水、pH、EC、透明度、プランクトン採取。
10:25 10:35 高浜入心 採水、pH、EC、透明度、プランクトン採取。
10:50 11:00 三又心 採水、pH、EC、透明度、プランクトン採取。
11:10 11:20 江戸崎入心 採水、pH、EC、透明度、プランクトン採取
11:30 11:40 麻生・和田沖 採水、pH、EC、透明度、プランクトン採取。
11:45 15:55 麻生桟橋 上陸、休憩、昼食。
16:30 17:00 土浦港京成マリーナ 帰港後食事、片付等。走航距離45浬
先週降り続いた大雨と、週始めまで吹き続けた強風の影響か、全体的に透明度は下がり
白濁も加わり例年の霞ヶ浦のようになってしまった。今回の調査で透明度が1mを超え
ていたところは三又心と麻生・和田沖のみだった。近頃低気圧が台風並みに発達するよ
うになったのは、やはり温暖化の影響のようである。温暖化とは平均気温が上がるだけ
で単に冬が暖冬になるという有難い話だけではないようである。むしろ冬は極端に寒く
夏は極端に暑い日が増え、台風や強烈な低気圧が増えることを意味するようである。先
週末の強風では三又沖で3名が乗ったバスボートが転覆し、3名全員が溺死するという
惨事も発生した。
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