『 がいあ 』 ニュースと航海日誌  『 2008年2月 』
2008年2月21日(木) 船長・船員2名、調査員1名、関係者1名
地点名 天候晴。  風向風速:西8〜2m。  気温6〜11℃
 
09:00 09:45 土浦港ラクスマリーナ 定期水質調査のため出航。
09:50 10:05 沖宿−防衛技研 採水、pH、EC、透明度、プランクトン採取。
10:07 10:17 崎浜沖 冷却水水温高く対処。修理完了。
10:25 10:40 牛渡−大須賀 採水、pH、EC、透明度、プランクトン採取。
10:55 10:56 玉造浜桟橋 1名一時離船
11:00 11:10 高浜入心 採水、pH、EC、透明度、プランクトン採取。
11:15 11:16 玉造浜桟橋 1名再乗船
11:30 11:40 江戸崎入心 採水、pH、EC、透明度、プランクトン採取
11:50 12:00 三又心 採水、pH、EC、透明度、プランクトン採取。
12:10 12:20 麻生・和田沖 採水、pH、EC、透明度、プランクトン採取。
12:25 16:40 麻生桟橋 上陸、休憩、昼食。
17:20 18:00 土浦港ラクスマリーナ 帰港後食事、片付等。走航距離45浬
プランクトンは比較的大きめの物が多かった。高浜入と三又沖内水域では水にもやもや
が見えた。透明度は良いところでも1m程度だった。出航時は時化ていたが霞ヶ浦大橋
通過後から凪いできた。比較的暖かな日和で調査は楽であった。
2008年2月9日(土) 荒地になる浮島水の家地区の人工浜
昨2007年5月14日の日誌で紹介した稲敷市浮島地先旧水家水泳場跡地に国土交通省が造
成した砂浜のその後の状況であるが、何とも不愉快な土盛工事によって今後、美しい砂
浜の復活は望めない状況にになったため、説明したいと思う。コンクリート護岸の直下
に垂直方向砂留堤を備え、しかも冬季の北西風を充分考慮した構造も非常に完璧なもの
で、夏秋の台風、非常に強い今期の季節風にも耐え、砂浜は変則S字に形状を変えなが
ら現在も残っている。しかし見た目を良くしたい為か赤土を入れ芝を貼り、湖岸堤の傾
斜を緩慢にするために後に造成された構造物が水位上昇に波浪が伴った際起こる浸食に
よって北西寄り部分の赤土が流出し、既に砂に粘土や土が混入した状況になっている部
分が出現した。今後湖岸堤寄りの陸部からヨシが出現し始め、前回同場所で失敗した人
工天橋立と同様にヨシ原または荒地になり、波打ち際を除いては砂は見られなくなり造
浜は失敗に終わるだろう。その人工天橋立は、汚い木造で間隔の狭い垂直堤が無数に作
られ、赤土混じりの山砂が入れられた極めて不愉快なものだった。波があるときは山砂
が波で洗われ付近の水は黄土白濁の泥水に濁る無残な状態が長く続いた。昭和末頃から
行われている霞ヶ浦の砂浜の保護または造成は事業はことごとく失敗している。無風状
態でしか現場を見られない愚かな設計者と知識のない担当者による税金の無駄使い、ま
たは環境破壊としか思えない。(社)霞ヶ浦市民協会の沼澤主任研究員も言っているが、
どこの海岸に芝生を張った防潮堤があろうか。築堤された海岸の全てはコンクリートむ
き出しで、堤下に砂浜や磯が広がるのが普通である。霞ヶ浦は場所と風向きにより(水
送距離が長いため)波浪が成長するため海の沿岸と考えるべきで牛久沼や手賀沼、ある
いは池のような水域とは甚だしく異なるのである。沿岸が内湾の沿岸同様のエネルギを
受けるにもかかわらず、なぜ霞ヶ浦だけが沿岸堤に赤土を盛り芝を植えなければならな
いのだろうか。担当者の考えの浅はかさには絶句する。それときれいな砂浜の沖合への
離岸堤の築堤も甚だしく問題である。十余年前、台風の強い南風の影響で玉造に一夜に
して砂浜が出現した。地元住民からせっかく砂浜ができたので保護してほしいというこ
とで離岸堤が築堤された。程なく、波によって洗われなくなった砂地にはヨシや雑草が
生え始め、現在では酷い荒れ地になっている。また、行方市麻生地区島並沖に築堤され
た離岸堤によって島並のボリュームのあったきれいな砂浜も汚れてきた。砂浜のすぐ沖
はすでに泥混じりになっており、浜の様子も変わってきている。そもそも沿岸の砂は霞
ヶ浦の
湖流で移動することは全くなく、風により発生した風浪漂砂現象が起こり波の
向かう方向
に運ばれるものである。霞ヶ浦は夏は南東、冬は北西の季節風が吹いており
季節風で発生した波が砂を洗浄しながら移動させ砂浜の環境が保たれているのだという
ことを理解すべきである。
追加事項:1969年(昭和44)を最後に浮島水家水泳場が廃止
された以降、現在の浮島水家水泳場跡人工浜の沖合〜西ノ洲間の砂を地元漁協が補償と
引き換えに砂礫採取業者に売ってしまい、浮島沿岸ではさかんに砂礫採取が行われ多量
の砂が浦外に持ち出された。現在の人工浜沖には水深11m、低質は真っ黒い汚泥のスポ
ット状の深穴が3ヶ所程空いていて、人工浜の砂がその穴に向かって移動する可能性が
ある。深穴部の汚泥の浚渫と鹿島港の浚渫砂等の清浄な海砂を利用した穴埋め工事も今
後必要であると思われる。また西ノ洲沖の岩礁地帯北西側の水底は、砂礫採取船が掘っ
た跡の深いクリークが非常に規則的な碁盤の目になっており、質のよい砂によるこの地
域の埋め戻しも必要かもしれない。−がいあ船長−
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