2023年7月24日(月) |
船長(代行)・船員2名、調査員1名、会員6名 |
<文:沼澤主任研究員>
今年は、世界的に熱い夏となった。日本列島も異常な熱波に襲われ、土浦市内でも気温37℃を超える日があった。観測当日もかなり暑く、湖水水温(表層)は31℃前後で、生態系への影響が懸念される。7月21日は恒例のワカサギ漁解禁日だが、翌日の新聞記事によると、初日の漁獲量は、不漁だった昨年をさらに下まわった。近年の不漁の原因は高い水温か、餌の動物プランクトンが少ないからか、また湖底の酸欠のためか、あるいは複合的な要因か。
市民による水質調査は、それらの判断材料を提供することが主要目的の一つだが、断定的な結論は難しい。しかし、調査船上から湖面を観察し、透明度を測定し、水質分析とプランクトン分析によって、科学的な判断材料が得られる。
高水温と透明度のわずかな改善により、土浦入の湖面でスジ状のアオコが観察された(アオコ度1)。沖宿沖でウチワヤンマ、牛渡沖で、水面に浮いたハクレン死体にアメリカナマズが食いついている姿が観察された。
水色は茶緑濁の地点が多かったが、顕著な白濁はなかった。透明度は65cmから、三又湖心で100cmだった。電気伝導度と塩化物イオン濃度は、例年に比べて各地点でやや低かった。これらのデータは、6月上旬の大雨の影響で、湖水が少し入れ替わったことを反映している。無機態窒素、リン酸態リン濃度は特に高くない。COD値も各地点で高くなかった。
植物プランクトンの顕微鏡分析では、藍藻類のミクロキスティス(アオコ)が、カウントされた。また珪藻類のメロシラ類は観察されたが、緑藻類は皆無だった。これは水温が高いためか、動物プランクトンによる捕食の影響か、断定できない。
動物プランクトン分析では、オナガミジンコ、ケンミジンコ類が優占していた。ミジンコ類が多いため、ワカサギの餌は十分にあるようにみえるが、春先の稚魚成長期からワムシ類が少なかったことが、ワカサギの成長に影響し、不漁の要因になったのだろうか。
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