双胴船(カタマラン)その魅力と利用価値
双 胴 船 ( カ タ マ ラ ン ) と は
双胴船(カタマラン)とは、縦長の二つの船を並列し、デッキ同士を繋いだものです。南方の漁師が利用しているアウトリガー付きの船も双胴船の一種です。双胴船は2つの船が繋がっていることから、一般的な単胴船(モノハル)に比べ転覆しにくい特性を持ちます。その特性は重心にも現れております。双胴船は、単胴船とは全く異なった位置に重心があり、図心よりも遥かに高いことが特徴です。現代の双胴船は各舷がスリムに造られている場合が多く、デッキがワイドなこととは反対に前面投影面積cd(a)値が極端に低く、水理抵抗を少なくできます。また2つの胴(ハル)の幅の和が小さいため、浮力が低く、そのために波を切りながら進むという特性を持ちます。波に突っ込むような形で進行するため、波を乗り越える際の縦揺れ(ピッチング)が発生しにくく、一般的な単胴船のように、波に船首が当たった時のような大きなショックは起こりにくくなります。このようなメリットが大いに生かされ多くの高速船にカタマランが用いられるようになってきました。ヨーロッパではオーバー40kn(ノット)の超大型カタマランフェリーが登場してきたほか、本邦でも沖縄県の各離島を結ぶ超高速旅客船、阪神と関西空港を結ぶ高速航路、本土と伊豆七島を結ぶ航路などで競ってカタマランが就航しています。霞ヶ浦ではホワイトアイリスがこの形状を有し、ソフトな乗り心地で好評を博しております。
ワ   イ   ド   な   デ   ッ   キ
双胴船の両船体は極めて細く造られていますが、その船体を繋ぐデッキ部は、同クラス単胴船の船体の全幅よりワイドに造られています。調査船がいあU世のピットはセンターキャビンを有しますが、その全幅ゆえに周囲デッキが歩き回れるため、接岸作業が容易です。この広いデッキによって水質調査時の採水も容易に行なえ、透明度測定、プランクトン採取等、直接器具を水中に投じる作業が簡単に行なえます。そのほか、各装備はブルワーク内に収納されており、デッキ上には殆ど突起物等がないため、広い平場をそのまま使用出来ます。器具や網等を様々な設備に引っ掛けたり、当ててしまう事による破損事故も発生しません。
効   率   よ   い   船   体
一般的なモーターボートのような単胴船に比べ、二つの船体の各ハルの、全長に対する全幅は非常に狭く、直進性に優れています。またハル自体が極めて細身のため、船首に大きな浮力が生じず、ピッチング(縦揺れ)時の衝撃が極めて少なく、また高級乗用車のクッションのように縦揺れそのものを柔らかくします。細身の両船体は水理学的抵抗を小さくし、水中の全面投影面積cd(a)値を小さくするために出力の割に優れた高速性能を発揮します。
調査船 『がいあU世』 の優れた安全性
双胴船は船上に構造物などの設備を持つため、高重心になります。しかし、2つのハルがデッキで連結された形状になっているため、幅も広く、転覆しにくい構造と言えます。高重心のため、復元力がある一定の値まで鈍く推移するため(片方のハルが水面に出る頃には急激に復元する)、極めて緩やからロール特性を持ちます。しかもスタンドライブが中央に1機のため、単胴のスタンドライブ船のように、旋回時の外傾斜現象が発生しません。正横の波でも極めて安定した走破特性を示します。(ただし、十分な操船技術を身に付けてない方は、横波航行はしてはいけません。)その上、水上の構造面積が小さいため横風を受けて走行しても横流れによるステアリング補正で、風が吹いてくる方向に大きく傾斜する現象(モノハル・アウトドライブ船の特徴)が起こらず安全です。その他、多くの小型船舶が採用するアウトドライブ構造は、ドライブユニット自体が陀として稼動します。一軸右回りドライブのような固定式スクリューとは異なり、プロペラからの噴射で運動方向が決定されるため横圧力、回転噴出流の影響を無視して、逆ハン逆噴による接岸ができ、右左舷関係なく着船できます(一軸船では逆噴射すると横圧力、噴出流のため船尾が左に離れてしまい、右舷接岸が困難)。その他、調査船『がいあU世』は一軸二重構造反転式デュアルプロペラ(ボルボ社製デュオプロ)を使用しているため、双力の影響を受けない安定した姿勢が保たれます。

カタマランアウトボード船の傾角イメージ(モデル:ンキャット8.8X)左:右旋回時、右:左旋回時
 
上の図は、カタマラン・スタンドライブ艇が、フラット姿勢のまま旋回していく様子を図面に記したものです。ステアリング操作による船体の傾斜は上図の通りフラットです。シャフトドライブの船は、遠心力により、外傾斜特性を示します。また、アウトボード、スタンドライブ及びウォータージェット推進器を備えた船舶は、旋回時に自動車やシャフト船とは逆の傾き(遠心力相殺的な旋回姿勢)を示し、オートバイや自転車に似た特性を持ちます。
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