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歴史が教える霞ケ浦浄化法 −浄化法6−
前記の単純計算からいけば、約5〜6回の逆流で環境基準をクリアし昭和30〜40年代前半の水質に
戻せるような結果となる。また以上のような水質に戻すために必要な利根川の水量は、3.5億t×5
回=17.5億t−3.5億t×6回=21億tより 約20億トンにも及ぶが、利根本川が浅く河口づまりだ
った昭和10年代の霞ケ浦沿岸は、しばしば逆流型洪水に見舞われ、年間にすると上記の倍以上にも
及ぶ逆流が起こっていたのである。なお、逆流水は湖流により攪拌されるが、土浦、高浜の入江の
奥部及び北浦奥部にまではなかなか及ばないものと考えられる。しかし西浦、北浦湖心付近では十
分な効果が得られるものと思ってよい。(1/25000のモデル実験により確認。)
もし現在、逆水門を完全開放したら
現在の霞ケ浦の水は農業用水、工業用水、飲料水に用いられ、霞ヶ浦町牛渡には県西用水の取水口
が設置されている。塩分濃度が200 mg/lを超えれば飲料水としては不敵なり、それより濃度が上が
れば昭和30年から49年にわたり農業に甚大なる損害をもたらした塩害いも発生する。また平成2年
には常陸利根川の旧北利根橋下の洲が浚渫され、通水能力が大幅にアップしたため、西浦のかなり
奥部にまで大塩害をもたらす可能性がありうる。常陸利根川の設計通水能力は 1000t/s(平成3年
洪水時の実測では500t/s)であるから潮汐を多分に受け12時間を1サイクルとして単純計算で次の
水量の逆流が予想される。 < 500t/s×60s×60m×6h=1080万t >
1日当たり 2160万t 霞ヶ浦全水量の2.6%
1月当たり 6億4800万t 霞ヶ浦全水量の 81%
1年当たり 77億7600万t 霞ヶ浦全水量の9.5倍
なお1度の潮汐で霞ヶ浦西浦では約5.4cmの水位の上下が発生する。北浦では10cmを大幅に超える。
逆流する水は降水量が少なければほとんど海水同様になり、通常は利根本川の水と混合された状態
で、降水量が多い時はほとんど利根本川の淡水となる。そして洪水時には年間30〜50億t(最大、
霞ケ浦の湖容積の6倍分)もの淡水の逆流に予想されるため、おいとしては利根本川の水と海水を
合計すると 100億tを超え、霞ケ浦の12杯分に相当する。霞ケ浦の年間放流量を14億トンとすると
その7倍にもなるのだ!通常霞ケ浦に残っている富栄養化した水のパーセンテージは霞ケ浦全水量
のわずか一桁となり、ほとんどは海水と利根本川の水ということになってしまう。滞留日数が低い
こともあり、淡水と海水混じるきれいな湖になるであろうが、通常時はおそらく高濃度の塩水とな
り飲料水はおろか、農・工業用水としての価値は一切なくなるであろう。現在の情勢からみて逆水
門の完全開放は全く不可能であるといえよう。やはり、霞ケ浦は昭和30年以前の淡水湖としての状
態に最も近づけることが、人工的ではあってもベストな選択であると思われる。昭和40年頃まで、
霞ケ浦の水は手ですくって飲んでいたという。三又沖では三尋(約4.5m)の底にいるタンカイ(カ
ラス貝)の入・出水管が船上からはっきり見えたそうだ。流域からの汚濁の流入を全力で食い止め
ながら、霞ケ浦の原点に立ち返った最も適した水の動きを再現す事こそ、霞ケ浦を蘇らせる最も有
利な手段であると思わずにはいられない。                  −がいあ船長−
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